Appleが、macOSから削除したaptXコーデックについて
主題
Appleが、macOSから削除したaptXコーデックについて、周波数特性の点から議論したい。
結論
ffmpeg内蔵コーデックの元でと言う条件付きのものの、SBC、AAC、aptXの3者のコーデックで顕著な周波数特性の差は見られない。
背景
Appleは、macOS 12 Montereyから、BluetoothオーディオコーデックのひとつであるaptXのサポートを止めた。これについて筆者が確認した所、Appleは、公式には非公開と言う立場をとっている。
だが、筆者が使用するAudio-Technica社製イヤホンATH-CKS50TW
での接続結果や、こちらの記事にある通り、macOS MontereyにおいてaptX接続が出来ない(AACになる)のは明らかである。当初、この記事は、それを糾弾するために書くつもりだった。
しかし、筆者のレベルでの音質評価の結果、すべてffmpeg内蔵コーデックの元でと言う条件付きのものの、SBC、AAC、aptXの3者のコーデックで顕著な周波数特性の差は見られない結果となった。
Bluetoothオーディオコーデックには、もう一つ遅延と言う特性があり、諸手を上げてAppleを支持することは出来ないが、糾弾すべきことが起こったとも言えない。
よって、本記事自体、存在の意味が問われるのだが、あえて自分の思考の記録として残しておくことにする。
実施事項
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macOSにおける、Bluetoothオーディオコーデックのビットレートの把握
すべてBluetooth Explorerを用いて実施した。Bluetooth Explorerは、macOS 12 Montereyでは、動かない。よって、これはmacOS 11 Big Sur上で行った。 -
ffmpegコマンド
オーディオCDから元になる曲1曲を読み込み、ffmpeg内蔵コーデックでエンコード、それをWavにデコードした。
ffmpegのバージョンは、N-107417-g940169b8aa
である。-
エンコードに用いたコマンド
SBCエンコード
ffmpeg -i ND_Raw.wav -c:a sbc -b:a 327k test.sbc
AACエンコード
ffmpeg -i ND_Raw.wav -c:a aac -b:a 256k test.aac
aptXエンコード
ffmpeg -i ND_Raw.wav -c:a aptx -b:a 384k -ar 48000 test.sbc
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デコードに用いたコマンド
SBCデコード
ffmpeg -i test.sbc sbc_Decode.wav
AACデコード
ffmpeg -i test.aac aac_Decode.wav
aptXデコード
ffmpeg -i test.aptx aptx_Decode.wav
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WaveSpectraによる各コーデックの周波数特性
ffmpegによって生成されたデコードされたデータを、WaveSpectraで再生、そのスクリーンショットを撮影したものが、以下の図である。-
比較用合成データ(55秒付近)
元データ、sbc、aac、aptxの各グラフを重ねて、アニメーションGIF化した物である。
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sbcデコードデータ(55秒付近)
元データをffmpegにてsbcにエンコード、それをffmpegにてデコードしたデータである。
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aacデコードデータ(55秒付近)
元データをffmpegにてaacにエンコード、それをffmpegにてデコードしたデータである。
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aptxデコードデータ(55秒付近)
元データをffmpegにてaptxにエンコード、それをffmpegにてデコードしたデータである。
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比較用合成データ(終了時ピーク)
元データ、sbc、aac、aptxの各グラフを重ねて、アニメーションGIF化した物である。
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sbcデコードデータ(終了時ピーク)
元データをffmpegにてsbcにエンコード、それをffmpegにてデコードしたデータの終了時ピークデータである。
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aacデコードデータ(終了時ピーク)
元データをffmpegにてaacにエンコード、それをffmpegにてデコードしたデータの終了時ピークデータである。
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aptxデコードデータ(終了時ピーク)
元データをffmpegにてaptxにエンコード、それをffmpegにてデコードしたデータの終了時ピークデータである。
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以上。
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